第29回ホビー大賞
――――――<講評>――――――――――――――――――――――――――
今年も200を超える作品が寄せられました。素晴らしい技術、多くの時間を要したと思われる作品が大変多く見られました。また、嬉しいことに、過去に文部科学大臣賞を取った方がお二人も応募してくださいました。皆様の熱い熱意が感じ取れます。
そういう中から選ぶのは大変です。でも、ホビー大賞はホビーを通して多くの人とのつながり、楽しみ、喜びということに目が向かいます。その観点から文部科学大臣賞は「おっきなおっきな紙芝居」となりました。準グランプリは生まれてきた弟のためにお姉さんが用意した「赤ちゃんのための布絵本」。奨励賞からも「デイサービスで羽子板市」「つなぐ・つながるプレイマット」。ハートウォーミング賞が「木製車いす」「手作りおもちゃから始まる幼稚園児との交流」。たくさんのつながり、楽しみ、喜びがありました。
ホビー大賞グランプリは労作、棒針編みでサン・ピエトロ大聖堂を描いた「Vaticano」 になりました。作って楽しく遊び心が感じられる楽しいで賞に「トイレットペーパー入れ」、身体の形をした子供用の洋服ダンス「amigo」が奨励賞。そうしてこれは大作、77歳の方が一日16時間1年半以上かけて作ったという「じいの海」という船が「技術賞」です。実際に浮かべることが出来ます。
繰り返しになりますが、ホビーを持つことで人とのつながりが強くなり、明るい世界がひろがる。そういう方向に皆で進みましょう。今年もご応募ありがとうございました。
委員長 白石嘉宏(NPO法人ソフトインダストリー研究会 理事長)
文部科学大臣賞
パルティこどもワークショップ おっきなおっきな紙芝居
末石真弓
【出逢ったことがない子ども達が1つの作品を通してつながる。】
茨城県の中で最も面積が広い常陸太田市。そんな子ども達が1つの作品で繋がったら素敵だな、と考えた。
2015年、常陸太田市民センターパルティホールとタッグを組み“常陸太田市パルティこどもワークショップ”を立ち上げた。地域・学校・伝統文化と繋がりながら4年間で3作品を作り上げた。地域おこし協力隊としての3年間の任期満了したが、現在も地元の牛久市と行ききし、やり方の形を変え、継続中。現在、4作目を制作中。
グランプリ
Vaticano
山根健三
小さい頃から大好きだった編み物。一本の糸から生み出せる可能性の大きさに気づき、「手編みで絵を描いてみたい」と思うようになりました。
写真をもとに製図をし、一目ずつ色を決め、一段一段編み進め、時には解き編み直し、ここに描くことができた念願の「ニット絵」。
空のグラデーションや建物の遠近感の再現は手編みのゲージでは限界がありますが、出来上がりを想像しながら製作する事は、私にとって最高に楽しい時間でもありました。これからも様々な題材の「ニット絵」を編み続けたいです。
準グランプリ
赤ちゃんのための布絵本
岡山天音
昨年二人目の弟が生まれました。弟は早産だったので長い間入院となりましたが、私は面会できず写真でしか会えませんでした。とても残念でしたが、弟に何かしてあげたくてこの絵本を作ることにしました。
冬休み中毎日、弟の帰りを楽しみにしながらこつこつ作りました。何度もやり直しとても時間がかかったけど、弟が喜ぶ顔を想像して最後まで集中しました。
母の手を借りずしかけも自分で考え、縫い目が均等になるよう丁寧に作りました。やっと退院した弟は今、音の鳴るおもちゃで遊んでいます!
奨励賞
amigo
勝川由芽野
私のバイト先の絵画教室の子どもたちが片付けをせず帰ってしまうのをみて、片付けを楽しめる家具を作れないだろうかと思い制作しました。
amigoは体の形をした子どもの洋服タンスです。自分の体のパーツとamigoの体のパーツを見比べて、洋服をしまう場所を自分で決めて楽しく収納場所を覚えてもらいたいです。
このタンスをただのタンスではなく、いつも部屋にいる友達だと思ってもらえるよう愛着のある色や形、取っ手にしてみました。amigoにとっての心臓、ハートの引き出しもポイントです。
奨励賞
デイサービスで羽子板市
デイサービスグリーン
遠出をすることが難しくなったご高齢の方々が『羽子板市』を懐かしく思い出しつつ半年近くかけて楽しみながら丁寧に作り上げました。
土台は厚紙ですが、かんざしにはお弁当用のピックを使い、他は手作りしています。
本来の押絵羽子板の作り方は解りませんが、顔の表情も一人ひとり違い「作った人に似ている」「孫にあげたい」と完成後も楽しめるものとなり、並べてみると圧巻です。
細やかな作業でしたが、ご本人達にとって「諦めなければまだまだできる!」という自信に繋がる作品となりました。
奨励賞
つなぐ・つながるプレイマット
岐阜県立大垣桜高等学校生活文化科3年
幼児の心を育む遊びには、人と人との関わりが大切です。保育コース28人で「つなぐ・つながる」をテーマに、幼児の興味関心を引き出し、豊かな感性や情緒を育むプレイマットを製作しました。
キルティングやフエルトなど丈夫で肌触りが良い生地を使って、幼児の身近なお店や公共施設をパズルマットに表現しました。
幼児が転がったり踏んだりすると音が鳴る仕掛けや幼児の足裏刺激の効果に緩衝材も使用してあります。
無地のマットを道に見立て並べたり、車や人形を使ってごっこ遊びをしたり、組み立ててサイコロにや基地にするなど、友達と自由な発想で遊びながら、笑顔も繋がっていけるマットができました。
技術賞
じいの海
神田澄
定年後に木の廃材で得意な船を造っている内に色々趣味を持たれる人に質問される内にいつの間にかこの様な作品が出来ました。木のぬくもりを利用し、優しく接すると、どこまで答えて来れるか楽しんでいます。
制作時間は1日に15時間位、約1年6ヶ月で完成しました。
ハートウォーミング賞
木製車いす
NPO法人ティチャーズ・カンパニー
沖縄県沖縄水産高等学校 総合学科 福祉サービス系列
チーム名 ARFA
沖縄県の入口でもある空港においてボディチェックがあります。高齢者・障がい者にとっては、金属等の危険物を持っていない状況でも、必ず体を触れるチャックに対して、ストレスを感じることがあると聴きました。そこで、福祉を学ぶ高校生として、地元の木工を専門として取り扱う福祉事業所と連携して、すべての部品を木製で制作する車いすを造ることに踏み出しました。
作るうえで車いすを解体し、実際に8分の1サイズを模型にすることができました。これは福祉教育の一貫として小学生に車いすの説明のキットにすることができました。
次はベアリングの問題として耐久性の問題がでてきましたが、独自に研究をしてビー玉で回転をするベアリングで現在3分の1まで作成をおこなっています。目標としては2020年の東京オリンピック・パラリンピックに活用できるまでの実寸大と安全性を目指しています。
ハートウォーミング賞
手作りおもちゃからはじまる幼稚園児との交流
港区立港陽中学校
本校の9年生は、毎年、家庭科の保育の授業でおもちゃ作りに取り組み、同じ敷地内にあるにじのはし幼稚園の3歳児クラス「ことりぐみ」で保育実習を行います。
どうしたら子供たちが楽しめるかな、と想像しながら工夫や改良を重ねて作ったおもちゃで、目を輝かせて遊んでくれる姿に、中学生も生き生きとした表情で応えています。
その後、園児たちがきれいな葉っぱでしおりを作ってくれたり、校内作品展を一緒に見学したりと、お台場ならではの心温まる交流へと発展していきます。
楽しいで賞
トイレットペーパー入れ
長光保志
紙バンドという素材を使ってトイレットペーパーケースを作ってる際に、トイレという狭い空間でもほんの少しだけ「ほっ」とできるようにならないか?少しでも楽しくできないかと、色々な形のトイレットペーパー入れを作ってみました。
紙バンドという素材は主にかごやバッグを作ることに使われていますが、編む以外にもミニチュアや構造体も作ることができまた、素材も紙なので柔らかく温もりのある作品になりまだまだいろいろな可能性を秘めています。
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