ホビー産業大賞

第17回ホビー産業大賞

――――――<講評>――――――――――――――――――――――――――

第17回目を迎えた今年のホビー産業大賞の経済産業大臣賞は、株式会社KAWAGUCHIの「Cohana」となりました。日本の伝統とグローバルなデザイン感性を取り入れた製品で、材料だけでなく、デザインも本物であり、業界にとっても先進的な取り組みです。

東京都知事賞は、イベントが受賞しました。2016年9月に東京、12月に大阪で開催された「キルト&ステッチショー2016」です。手づくりでありながら、サイズが大きな物に取り組んだり、デザインの進化が感じられました。

経済産業省製造産業局長賞1件目は呉竹の「顔彩耽美 スターリーカラーズ」です。発色の難しい金色を、さまざまな紙で発色良く使え、技術力の高さがあります。

2件目は川竹庭園の「bon彩」です。バイオ炭を使いながら、サイズの小さな盆栽で、若い人にも向けた、現代のライフスタイルにマッチした提案だと感じました。

東京都産業労働局長賞1件目は、GMOペパボ株式会社の「minne」です。ハンドメイドのマーケットを広げたサービスとして、ますますの発展を期待します。

2件目は、株式会社ルシアンの「地刺し 刺しゅうキット」です。伝統のある刺繍を、現代的なデザインや色使いでキット化し、サイズ感も良く、初心者でも手に取りやすい製品だと思います。

日本ホビー協会賞は2件です。1件目の友安製作所の「ファブリックプランツ手作りキット」です。つい笑顔になってしまうデザインであり、アーティストと企業のコラボレーションは、これからの注目です。

2件目は株式会社オカダヤの「『編物』を通してしあわせな時間の共有」です。手づくりの持つ特性を活かした社会貢献活動で、これからも継続した活動となることを願います。

受賞は以上となります。今年は全体的に、色や材料など、デザイン性が一段と高くなったと感じます。時代の流れを感じました。今から次回の開催が楽しみです。たくさんのご応募をお待ちしております。

委員長 今井すみこ(環境デザイナー)

経済産業大臣賞

Cohana(地域産業や工芸にこだわった上質なハンドメイドの道具) 株式会社KAWAGUCHI

地域産業や工芸にこだわった上質なハンドメイド道具

「Cohana/コハナ」は、日本神話の女神~コハナサクヤヒメ~を由来としたブランドです。
CohanaはMade in Japanにこだわり、伝統的な匠の技術や素材産地と共に製作した、モダンで上質なデザインが特長。使いやすく実用的なハンドメイドをするための道具です。老舗手芸道具メーカーとして使いやすさにこだわりながらも、贈り物、インテリア、コレクションとしても心に残り、いつまでもご愛用いただける道具です。

http://cohana.style/

東京都知事賞

キルト&ステッチショー2016
(~日本で初めてのキルトと刺しゅうの祭典~)
公益財団法人日本手芸普及協会

キルトとステッチ(刺しゅう)2つの人気クラフトにスポットを当て、作品展示、コンテスト、ワークショップ、レクチャー、マーケットを開催。
それぞれの愛好家が集い、楽しみ、交流を深める場を提供し、キルト界、刺しゅう界の活性化とファン層の拡大を目指しています。

・9/15~17 東京ビッグサイト西4ホール
・12/15~17 マイドーム大阪 1~3階

経済産業省 製造産業局長賞

ミニ盆栽+陶器+バイオ炭=「bon彩」
~インテリア感覚で気軽に楽しめる緑の癒し~
有限会社川竹庭園

近年、有機質資材として注目されているバイオ炭。植物の成長を促進し、水質を浄化する効果があり、廃棄物とされていた樹木の枝葉を再利用することで、環境に配慮した有効資材へと変わる。それがバイオ炭。「bon彩」はそのバイオ炭を取り入れた環境に優しくほんのちょっとの手間で癒しを提供してくれるミニ盆栽になります。植物を器に飾り鑑賞する「盆栽」。植物の種類や大きさによってはその管理方法は難しく、置き場所にも制限が掛かってしまいます。こんな心配をちょっとでも軽くしたいという想いで開発したのが「bon彩」です。

「bon彩」の器には高知県安芸市で江戸末期より続く伝統工芸「内原野焼」の陶器を使用しています。昔は水瓶や徳利が主に作られており、昭和初期になると鉢物や花器、皿といった小物作りに移行し、今日に至っています。現在では窯元も減り、後継者難という課題にも直面しています。植栽部分に関しては子どもから高齢者まで、誰でも簡単に作ることができるので、今後は「bon彩教室」などのワークショップも検討しています。「bon彩」は2015年12年に誕生し、2016年4月~8月にはクラウドファンディングの活用により、全国へ発信することが出来ました。また、メディア掲載としては地元新聞と朝日新聞に取り上げていただきました。今後は更なる販路拡大を目指し、ブランド化へ移行出来ればと考えています。

経済産業省 製造産業局長賞

顔彩耽美 スターリーカラーズ 株式会社呉竹

繊細な色味が作品の幅を広げてくれる、美しい金色ベースの顔彩絵の具です。隠ぺい性に優れ、白色の紙だけでなく、濃い色の紙にも上品に発色します。

表情の違う金色は、上品な中にも華やかさがあり、使い方で様々な表情をみせてくれます。カリグラフィー・ブラッシュレタリング・イラスト・書面など、あらゆる作品にご使用いただけます。

【呉竹 顔彩耽美WEBページ】
http://www.gansaitambi.jp/

東京都 産業労働局長賞

ハンドメイドマーケット minne(ミンネ) GMOペパボ株式会社

「minne(ミンネ)」は、ハンドメイド作品を販売・展示・購入できる国内最大のCtoC(個人間取引)ハンドメイドマーケットです。
全国各地で開催される手づくり市や、蚤の市等に足を運ぶのが好きな社員の「インターネット上にハンドメイド作品が集まり売買できる場を作り、作家のファンを増やしたい」という想いからうまれたサービスです。
2012年にスタートして以来、アプリやサイトの機能開発・改善を重ね、2017年1月にサービス提供開始5周年を迎えました。現在アプリダウンロード数は700万件を突破し、32万人以上の作家による500万点の作品が展示・販売されています(3月22日時点)。

2015年1月よりハンドメイドの価値向上と市場認知度拡大を目的に、プロモーションを強化し、年間流通総額は前年比4.2倍の44.6億円に達し、2016年には、年間流通額83.9億円にまで成長しました。

「minne」はオンラインのサービスでありながら、オフラインの活動も積極的におこなっており、東京・世田谷と兵庫・神戸にハンドメイドを楽しむ場所として「minneのアトリエ」を開設。作家向け勉強会(作品価格の付け方・作品写真の撮り方)や座談会、お茶会、作家が作品を撮影するスタジオとして運営しています。

また、ハンドメイドの魅力を多くの方に伝えるべく、作家による対面販売イベントを全国で実施、2016年には全国のPARCOを巡るイベント「ミンネとパルコのミエルツアー」を開催しました。そのほかにも行政や企業、伝統工芸とのコラボレーションなど、作家活躍が広がる取り組みを政局的におこなっています。

「minne」では、今後もさまざまな活動を通じて、作家が活躍できる場所の提供はもちろん、ハンドメイドの新しい価値を創出し、ハンドメイドマーケット市場を牽引するとともに、ホビー業界や市場の発展にも貢献できるように努めてまいります。
2017年4月28日(金)・29日(土・祝)の2日間、東京ビッグサイト東7ホールにて、大型対面販売イベント「minneのハンドメイドマーケット2017」を開催。

東京都 産業労働局長賞

COSMO 地刺し® 刺しゅうキット 株式会社ルシアン

地刺し®とは(戸塚刺しゅう研究所の登録商標です。)
布目を数えながら一種類または数種類のステッチを自由に組み合わせて作る技法で「戸塚刺しゅう」創業者戸塚きくが考案し、現在も親しまれています。昭和の初期にはまだ珍しかった西洋刺しゅうは美しく華やかで、当時の女性の憧れでもありました。そんな刺しゅうにアレンジを加えて、さらに自由で多様に富んだ表現を生み出しました。

戸塚刺しゅう研究所HP
http://www.totsuka-shisyu.com/

■刺しゅうキット開発の背景
刺しゅうは、あらゆる手芸やクラフトと組み合わせることで、これまで馴染みのなかった若い層でも始められる方も増えています。朝ドラでも刺しゅうがクローズアップされることにより広がりを見せています。地刺しに着目し、弊社が刺しゅうデザイン・制作に携わった書籍「地刺しの連続模様」が刊行されました。歴史を重んじつつ、デザインや色づかいを現代風にした感度の高さに好評価を得られ書籍とタイアップした刺しゅうキットを発売することになりました。

http://www.lecien.co.jp/

日本ホビー協会賞

創作園藝課×Colors
ファブリックプランツ手作りキット
株式会社友安製作所

このキットとは、2016年7月13日より、友安製作所大阪本社ショールームおよび、友安製作所Café(東京・浅草橋)にて販売を開始いたしました。
「創作園藝課」は、大阪班班長と京都班班長の幼馴染み2人組のアートユニット。
「創造して作った植物をアートとして楽しむこと」をコンセプトに、布やフェルトで植物を創作する創作園藝活動をしているいま注目のアーティストです。「Colors」は、“色々な”、“色々な側面を持つ”、“色とりどり”などの意味を持ち、見せるインテリアを気軽に楽しんでほしいというコンセプトのもと生まれた、インテリア商品販売会社友安製作所が発信するオリジナルブランドです。

ハンドメイド業界で注目を集めるアーティストと、友安製作所のコラボレーションにより、布やフェルトで創られる新しい観葉植物「創作園藝」の魅力を発信。作り方をYOUTUBE動画で公開するなどのプロモーションも積極的に行っています。
オリジナルの作品作りが楽しめる手芸キットは、「フェルトで創る基本の多肉植物」と「布で創るスパティフィラム」2種類を販売。材料はすべてセットされているので、ハサミやペンチ、ボンドなどの道具を準備するだけで、誰にでも簡単にファブリックプランツが作れます。

日本ホビー協会賞

「編み物」を通してしあわせな時間の共有 株式会社オカダヤ

「編み物」を通してしあわせな時間の共有
梅宮マルティナさんとの取組み

梅村マルティナさんは東日本大震災後、宮城県気仙沼の避難所に毛糸を送ったことをきっかけに活動の場が広がり、2012年に「梅村マルティナ気仙沼FSアトリエ (KFS)」を設立。KFSは毛糸の輸入販売、ニット製品の製造販売、編物教室などを行い、被災された気仙沼市の女性たちの就労支援と、お客様とのふれあいから社員たちと仕事をすることで生まれるしあわせな時間を共有している。

「Opal毛糸」の製造元であるドイツのTUTTO社は熱帯雨林保護基金支援活動を行うなど、社会貢献活動に熱心な企業。他社には認めていない「KFSブランドオリジナルOpal毛糸」を特別に製造する形で、KFSの活動を支援している。
マルティナさんの活動に共鳴するオカダヤは2012年11月よりKFSと取引を開始し販売を支援。大型手芸店では現在に至るまでオカダヤのみの取り扱いとなっているKFSオリジナルOpal毛糸をメインに展開し、店舗にてマルティナさんの講習会も開催。高額(¥5,000~6,000)ながら、毎回好評を博している。
2017年1月には伊勢丹新宿店にてイベントを実施。ワークショップも開催し、多くのお客様にご参加いただき好評を得た。