ホビー大賞

第27回ホビー大賞

――――――<講評>――――――――――――――――――――――――――

今年は例年になく応募作品が多く、200を超えるご応募をいただきました。ご応募をいただいた皆様にこの場を借りてお礼をさせていただきます。私の作品がなぜ選から漏れたのか、と思う方も多くいることと思いますが、これだけ多くの作品が一堂に集まったのですからご了承願います。

さて、審査を終わり眺めてみるとハートウォーミング賞が3つも出たように、今年のホビー大賞は「ホビーは愛をはぐくむ」という姿になりました。この心豊かに温まるという作品群の中でも、11歳のお兄ちゃんが3歳の妹のために作った木馬「かみたくん」が文部科学大臣賞に選ばれました。

ホビー大賞グランプリは、これも工作ものですが、「手作りロボット」に決まりました。中学生が企画し、小中学生が集まって作品作りに熱中している姿が印象的でした。

準グランプリは鬼灯(ほおづき)ピアスです。作品作りに向かう背景や使用する場面のイメージが伝わります。

「和風ブーケ」を受け取った人にはハッピーが訪れることを期待。「木製オートマタ」は労作です。こういう中で、どうしても特別賞を差し上げたい、ということになったのが「点訳おりがみテキスト」です。障害のある方々に対する暖かい姿勢は大切なことです。

12の入賞作品は全て、この4月に開催される「第41回2017日本ホビーショー」にて展示される予定です。展示されている作品をぜひ会場でご覧ください。

ホビーを楽しむこと、それが生活周りを豊かにすることになって行く。このような流れが大きくなってゆくことを皆で感じましょう。

委員長 白石嘉宏(NPO法人ソフトインダストリー研究会 理事長)

文部科学大臣賞

かみたくん 浅見 流

僕は小学生五年生です。3才の妹にはお気に入りのおもちゃがないので、あれこれ考えて妹に手作りの木馬を作ることにしました。

まずは、30分位かかって全ての部品の長さを描いて設計図を完成させました。父は自営業で車いすをつくる工房で働いているので、あまった材木でちょうどいい大きさの木を取って、形にそって電動のこぎりで切っていきますが、木が厚くて切るのが難しかったです。沢山切って、インパクトドライバーで組み立てて、足なしの木馬ができました。次は、カーブが難しい足の形を作りました。何度も組み立ててやり直し、時間はかかったけれど、父の手を借りずに全て一人で作りました。妹に見せた日「うわー馬だ馬だすごーい」という言葉が返ってきてとても感動しました。作ってよかったなと思います。また何か妹に作ってあげたいなと思います。

グランプリ

手作りロボット 10点 子ども工作会

私は、小さいころから工作が大好きで色々なものを作ってきました。同じように作りたいけれどどうずればよいか、という子達がいて、大人の人たちと相談し、小中学生の子たちに好きなものを作ろうと呼びかけたら、10人が集まりました。

思い思いのロボットを作ることにし、自分で設計から材料を切ったり削ったりして、日曜日半日、10日をかけて完成させました。
会費を集め、材料の用意や工作機械、工具などは大人達の力もかりました。参加した子の親たちも見に来てくれてうれしかったです。
全員思っていた以上のすごいものが出来上がり感激しました。自分の好きな物を作ろうとすると、みんなすごい力があると分かりました。
4月から技術系高校、将来はロボット工学関係の仕事をし、社会に役立つロボットを作ることが夢です。 

準グランプリ

鬼灯ピアス 小峰 由暉

日常の中でも日本を感じることのできるものを身に付けたいと思い、鬼灯(ほおずき)と日本の伝統文様を組み合わせたピアスを作りました。
日常で使えるように洋服でも和服でも違和感なくつけられるデザインにしています。モチーフの鬼灯は幼い頃に祖母と鬼灯笛を作って遊んでいた思い出から選びました。また鬼灯というモチーフに合わせて文様も花菱、菊青海波(きくせいがいは)、花七宝、花亀甲と植物を使っているものを選んでいます。
繊細な鬼灯の葉脈や文様を表現するため、紙をそれぞれの文様に切り抜いた上から色を塗りレジンで固めて作りました。

ハートウォーミング賞

消しゴムはんこパターンで作るワークショップシリーズ 岡田 美奈子

リピートによるパターンデザインに面白さを感じ、一般の方でもパターンを楽しめる方法はないかと考え消しゴムはんこを使ったワークショップを考案。会社員として働きながら、2016年活動開始。春・夏・秋・冬・横浜・鎌倉をテーマに、ハンドメイドイベントなどでイベントを開催。

オリジナルでこのワークショップのために描いた柄や、年齢問わず楽しめるカラフルな和紙を使った内容、プログラムを通して学べる印刷やリピートデザインの基礎知識など、他にはないユニークさがポイントです。

ハートウォーミング賞

『この木なんの木?』 幸田町子育て支援センター

就園前の乳幼児とその保護者の方にご利用いただく施設が幸田町子育て支援センターです。
プレイルームは、親子が楽しく過ごす遊び場です。既製の大型遊具からおもちゃ、絵本などもありますが、スタッフの手作りおもちゃも提供しています。今回は、スタッフ全員で一つの作品を作りあげました。一本の木で1年間の四季の移り変わりを表現した作品です。親子で、遊びながら会話ややり取りが楽しめる作品を作りたいと考えました。子供達にとって、自然に触れることはとても素敵なこと。お天気のいい日には、外の世界に興味を持って、お散歩するきっかけになったらいいなという想いから生まれた作品です。

ハートウォーミング賞

孫誕生3点セット 西山 敦之

2011年待望の初孫が誕生しました。何か記念になるものを贈りたいと思い、次の3つのものをハンドメイドで企画しました。

1.お食い初めの記念 銀製スプーン
2.歩き始め記念 ファーストシューズ
3.初節句記念 節句飾り

孫が健やかに成長することを願い、また、大きくなってこれらお金では得られない記念品を見て、少しでも家族の愛情を感じてもらえるように祈願して挑戦しました。現在は3人の孫に贈り家族に喜ばれています。

技術賞

木製オートマタ にゃんこのジレンマ/ダービー 田中 久斗

何か手作りの趣味を持ちたいと思い以前より興味のあった木製のオートマタ(からくり)制作を5年ほど前から独学で始めました。クラフトや木工作業など全く経験のない素人なので、簡単なものから制作をはじめ、ようやく少し複雑なものが作れるようになったので、今回応募いたしました。

木製のオートマタを作るうえで、全て木材で作ること、ひとつのハンドルを回すだけでいかに多くの部分を動かし、しかもユニークな動きにできるかというところに苦心しています。ハンドルを回すことで、登場人物たちが生き生きと動き出す様子を是非ご覧いただければと思います。デジタル社会、パソコンや3Dプリンターがあれば複雑なものでも簡単に作れる時代、あえて非効率ながら木材から部品ひとつひとつを切り出して自分が好きなものを時間をかけてじっくり手作りすること、オリジナルの一点ものを作ることにこだわって、これからも温もりの感じられる木製のオートマタの制作を続けていくつもりです。

特別賞

点訳 おりがみテキスト100 第1~5巻 点訳おりがみの本を作る会

視覚障碍者の方々に「おりがみ」を楽しんでもらいたいとの想いから、おりがみの点訳本制作を個人のライフワークとしていきたいと願っておりました。

数年前におりがみの基礎から学べる日本折紙協会の「おりがみ4ヵ国テキスト」の点訳を始めていきたいと協会の許可を得ておりましたが、どうしても視覚障碍者の方の協力なしでは制作できません。そのような中、一昨年視覚障碍者の山賀さんの快諾を得て、少しでもわかりやすく使いやすい「おりがみ」の点訳本作りがスタートしました。1日でも早く日本中、いや世界中の視覚障碍者の方々がいつでも自由に使えることができる点訳本となるように、制作を急ぎ、改良してユニバーサルデザインを目指して原本を制作したいと努力しております。

奨励賞

羊毛フェルトによる「Wedding」 聖園女学院高等学校・中学校 手芸部

2016年度の新作は“Wedding”
1年をかけて構想から準備、制作をして参りました。
全体で制作したバラの数は200個以上、花びらは1500枚以上になります。“Wedding”の繊細かつ華やかでエレガントな雰囲気を羊毛フェルトでどれだけ表現できるか、手探りながらもひとつひとつ丁寧に追及した作品となりました。

奨励賞

3Dプリンタで作ったロボットたち ロボットクラフト部(旧:機械工作部)

機械工作部では、3Dプリンタを用いて様々なロボットを設計し、制作しています。その中でロボットハンドのRakuyoHandと、インテリアロボットのヤドカリ君を紹介させていただきます。
ロボットハンドは遠隔操作の実現を目指して制作を始めました。離れた人同士がコミュニケーションをとれるようなシステムにしたいと考えました。
このロボットの製作を通じて、自分たち自身がロボットの設計や加工制御などを勉強できることも制作の理由の一つです。人と同じ動作ができるよう、指の角度や関節を再現しました。カラフルな色使いによって一般的な手形ロボットよりも威圧感が少なく、より親しみやすいデザインとなりました。

ユニーク賞

レインボールームドレス 竹内 恵子

ブレスレットを作るための、子供向けクラフトトイ「レインボールーム」を使い、実際に着られるドレスを作りました。小さな輪ゴムを組み合わせるだけで、自由な発想と創造力が産まれ、小さな子供でも大人でも、みんなをアーティストにしてくれるのがレインボールームです。
一年半かけて12着製作したドレスたちは、デザインにより、1着につき7,000本〜20,000本の輪ゴムを使い、数ヶ月をかけました。

ハッピー賞

和装ブーケ 本郷 和佳子

日本には日本の結婚式がある。私は長年ブライダルにフローリストとして関って きました。神前で結婚を誓うと言う文化が日本にある以上、ぜひ和装を着ていただきたい。近年、和装にブーケ を持つという機会も増えてきました。
伝統を踏襲するだけでなく新しいエッセンスとして、和装婚にブーケ。私は帯素材で作ってみました。ハレの日に和装ブーケを持たれ、思い出として身近に飾ってただきたいです。
さらにブーケとセットで用意しました髪飾りも壁掛けとして、使用後も楽しんで頂ける提案をしたいと思っております。