ホビー大賞

第28回ホビー大賞

――――――<講評>――――――――――――――――――――――――――

ホビー大賞は今年で28回目になりました。応募いただく作品も、近年は200を超えるようになりました。作品を作る人と共に、その作品が周りの人達も暖かい想いになっていただけるものが年々増えてきています。

ハートウオーミング賞が今年も3作品。幼稚園向けの大きな万華鏡、入院している子供に癒しをもたらす布絵本、作品ばかりでなく地域のお年寄りに喜ばれるフラダンス付きの活動。楽しいで賞は猫の魚やさんと3段重ねのおせち料理。大作の龍のタペストリーは奨励賞に、ガラスのキリンのオブジェは技術賞です。

お弁当すごろくは文部科学大臣賞になりました。遊びながら学びにつながる姿を見たいものです。

グランプリはよくぞここまで、と感心しました。空き缶を刻んで小さなビーズにしてこれをペンケースに仕立てました。準グランプリは段ボールで作った室内遊具、製作者は女性です。

紹介が最後になりましたが、見た目も楽しそう、どんな音なのか一曲聞かせてもらいたい鈴鈴管琴という楽器がアイデア賞、何もない壁に外の風景ごと手づくりした窓がユニーク賞となりました。

入賞した作品もしなかった作品も紙一重という、大変難しくレベルの高い作品が寄せられましたが、今年はご紹介した作品に決まりました。次回も振るってのご応募をお待ちします。

委員長 白石嘉宏(NPO法人ソフトインダストリー研究会 理事長)

文部科学大臣賞

Üing(遊ing) ①お弁当すごろく ②葉っぱナンバーズ kiironokaba

私たちは、幼児期に身につけたい生活習慣や知識をサポートするコミュニケーションツールを製作しています。
今回の「Uing」は ” 遊びながら(遊ing)” をテーマに、ボードゲームを取り入れたハンドメイド作品です。
「お弁当すごろく」は、止まった目の食べ物で自分だけのお弁当を作る “ 食育 ” のゲーム。「葉っぱナンバーズ」は、数字を使ったいろんな遊びで“ 算数 ”が身につくゲームです。
子どもが親や友達と一緒に遊びながら、自然と大切なことを学んでいけたらという思いを込めました。

グランプリ

CAN CAN 金光俊暢

アルミ缶を細かく切り、丸めてビ―ズにしました。
編んで元の缶の形のペンケ―スを作りました。接着剤などは使わずにどこでも手に入る物のみで出来ています。フィリピンで有名なジュ―スパックバックに刺激を受けました。
ゴミとして捨てられる物を価値のある物に変える。現地の雇用も生み出しています。私も何か出来ないか考えました。アイデアの元は学校の文化祭などでアルミ缶を繋げて作られるア―トです。これを小さくしたら面白い物が出来ると思いました。

準グランプリ

conet 中島弥姫

conetは、幼稚園の室内用段ボール遊具です。
単体で遊べるのはもちろん、conet同士をつなげることで遊具の形が変化し、様々な遊び方が生まれます。幼稚園の課題である安全性とコスト面を考慮し、接着剤を使わずダンボールの組み立てのみで十分な強度を実現しました。
組み立て段階では先生と子供が一緒に工作を楽しむこともでき、遊具をつなげるときには友達とのコミュニケーションも生まれます。
遊具自体にお絵かきをすれば、オリジナルconetの完成です!

奨励賞

龍の大タペストリー 長崎高等学校家庭クラブ連盟

全国高等学校家庭クラブ連盟主催の研究発表大会が長崎県で開催される際に、展示品として龍の大タペストリーを製作しました。長崎県内の家庭クラブ員が2年がかりで、龍の頭・うろこ・尻尾を作り、タペストリーに仕上げました。
長崎くんちで奉納される龍踊りを、他県の方にもっと知ってもらいたいという思いで取り組みました。
龍が力強く空を舞うような勢いをデザインに込めました。会場に展示した姿は本当に勇壮でした。
クラブ員九千人の代表が慣れない作業に挑戦し、完成した作品です。

技術賞

RECY KIRIN(リサイ-キリン) 盛一保洋

リサイクルガラスで作ったキリンのオブジェ。生前父が残した実家のガラス障子を発見。
50年以上も昔の風合いのある懐かしいカラスを最新のLEDで再度輝かせます。
また絶滅危惧種に指定されたキリンは50年前から半減しているそうです。そのあかちゃんの原寸サイズのオブジェを通じて、モノや動物、自然環境を大切にする気持ちを大人から子供へ楽しくお話しして頂けたら嬉しいですね。
造形手法はステンドグラス。照明は全てLEDの環境配慮設計です。

アイデア賞

鈴鈴管琴(りんりんかんきん) 佐藤貴士

これは真鍮パイプを鈴のように鳴らすトイピアノの一種です。あまり大きな音は出せないので本格的な演奏には向きませんが、ウインドチャイムや風鈴に近い、ささやかで風流なベル音が楽しめます。多分、楽器初心者の方でも指1~2本で弾けば、それなりにチリリンと音が鳴るので楽しめると思います。自室でふと思いついたメロディーを奏でたい時なんかには丁度良い相棒です。まだまだ改良すべき点はありますが、今回の受賞を励みにしてハンドメイド楽器製作を続けていきたいと思っています。

ユニーク賞

加藤章子

室内の壁に窓を作り、外を感じることができるといいな、と思って制作しました。開かない窓です。
壁掛けなので、軽量化するため厚目のフィルムでガラス感を出しました。外のグリーンが見える感覚で奥にフェイクグリーンを接着しています。
天上部はアンティーク風にカットして、奥行きを出すために庇をつけました。壁紙とマッチさせるよう白に塗りアンティーク風に削りました。金具もアンティーク調の物を捜し、高級感を出すためにパールをあしらっています。

ハートウォーミング賞

「ハンドメイド」がもたらしてくれた高齢者と絆~ボランティア活動を通して~ 葛飾区立双葉中学校手芸部

これらの作品は、高齢者施設にボランティアで慰問するために作りました。ボランティアに向けて活動を開始してから2か月半で、フラダンスを覚え、衣装を作り、プレゼント用のマスコットを作りました。何より嬉しかった事は、私達が「手づくり」したものでたくさんの高齢者の方達に喜んでもらい、「楽しかった、また来てね。待っているね」と言ってもらえたことです。地域に住むお年寄りの方々と交流ができ、これからも続けていくことができる「絆」は、「手づくり」がもたらしてくれた宝物です。

ハートウォーミング賞

鏡の森の切り株おばけ 金野一正

娘の幼稚園に寄贈するつもりで制作しましたが、「パパが頑張って作ったのを壊されちゃうかもしれないから絶対に嫌!!」と猛反対されて、現在は居間に鎮座なされています。
この度ハートウォーミング賞を頂き、こうして多くの皆様に作品を観て頂く事ができ大変光栄です。子供の頃、母の鏡台で遊んだ原体験を基に、3つの万華鏡と4面の合わせ鏡による森の無限迷宮をイメージしたものが本作品です。目玉の横のつまみを回すと中央のカプセルが転がり万華鏡の映像がゆっくり移ろいます。

ハートウォーミング賞

手作り布絵本で読み聞かせ 長谷川幸子

絵本の読み聞かせボランティアをして19年になります。入院している子どもたちに少しでも楽しい思い出ができるようにと、6年前から布絵本を作り読み聞かせに使っています。
材料は手触りのいい布を用い、動物や子どもが主人公の人形を付けたり外したりして遊びます。お話しを始める前から手を伸ばしてくる子や、布絵本を手にしたとたん笑顔になったりする子を見ると私も嬉しくなります。
これからも子どもたちが、ドキドキワクワクするような作品を作っていけたらと思います。

楽しいで賞

お重(三段重)=おせち 中村俊文

実際に百貨店で買って食べたお重の重箱を使用しています。おせちの種類は。48品目と鮮やかです。
伊勢海老・たこ・とこぶし・カニつめ・きずし・生麩・手まり麩・はじかみ・ちょうぎは、リアルにできました。羊毛フェルトの特徴は、色の多さです。また、羊毛を混ぜてどんな色でも作り出せます。伊勢海老やその他のおせち料理も重箱から大きく飛び出すように作っています。実際に販売されているより2倍のボリュームはあります。もちろんお重箱を重ねることは、できません。

楽しいで賞

粘土で作る小さな動物たち 萩原麻衣子

動物を主な題材に2008年より樹脂粘土による作品づくりを開始。「とことん細かく!」をモットーに一つ一つ手作りしています。「森の暮らしのひとこま」をモチーフに、見た人の心がふっと和む絵本の1ページのような優しい世界観を目指してこれからも表現していきたいです。「さかなやさん」と「海の中」はどちらも完成までに大変時間がかかりました。特に「海の中」は魚を閉じ込めながら樹脂を少しずつ流し込んでいく作業にかなり苦戦しましたが、その分思い入れの強い作品となりました。